全国野営の地記念碑建立
いまから60年ほど前の和34年4月10日、東京では快晴の青空のもと、
皇太子殿下(現在の天皇陛下)と、美智子さまの、
ご成婚パレードが行われていました。パレードの沿道には、
50万人を越える人々が集まり、ご成婚を祝っていました。
この同じ日、猪苗代湖畔天神浜では、秩父宮雍仁親王殿下野営記念の碑の、
除幕式が行われてました。快晴の東京に比べ、会津は激しい風雨に見舞われ、
参加するスカウトは、ポンチョなどの雨具を着て、会津から、郡山から、
自転車で集まってきたのです。
この天神浜では、大正13年(1924)8月6日から2週間、誕生して間もない、
少年団日本連盟の幹部のための、第1回全国野営が行われていました。
この野営の開催中、猪苗代湖畔の高松宮御別邸(現天鏡閣)に、
ご成婚間もない皇太子・同妃両殿下(昭和天皇・皇后両陛下)がご滞在中で、
そこに弟宮の秩父宮殿下が訪問される途中、この野営地に立ち寄られたのです。
秩父宮殿下は、キャンプサイトを巡視されたあと、国旗降納式にも臨まれ、
夕食の席では、二荒芳徳理事長、後藤新平総裁、香坂昌康福島県知事らと、
カレーライスの夕食を楽しまれ、テントに1泊されました。
秩父宮殿下は、翌日、東京や福島市から参加した、少年団の団員とともに、
磐梯山登山をされました。
皇族である秩父宮殿下の、思いがけないご台臨に、参加者は大変感激し、
ボーイスカウト運動の成功、発展を誓ったのでした。
記念碑は、この第1回全国野営と、秩父宮殿下のご台臨を記念したもので、
記念碑は、高さ約5メートル、50センチ角の栗の木の立派な木柱で、
表面には「秩父宮雍仁殿下野営記念の地」と刻まれました。
皆さんもご存じの通り、秩父宮殿下の奥様、勢津子妃殿下は、
会津藩主松平容保公の六男で、初代参議院議長の松平恒雄様の長女です。
松平恒雄様は、第1回全日本ボーイスカウト大会では、会場にお出でになり、
会津隊に激励のお言葉を戴いたことは、「思い出・23」に述べた通りです。
秩父宮殿下と松平勢津子様は、昭和3年9月28日にご結婚され、それまで、
賊軍とされてきた会津の人々は、これで賊軍という汚名は解消されると、
大喜びだったようです。このような関係から、会津の人々は、
秩父宮殿下に特別の親近感を抱いているのです。
この記念碑は木柱でしたので、永年の風雨によって傷みが激しくなり、
平成8年に石造りの記念碑に建て替えられました。
平成30年4月10日
ハチス団委員 赤城良一
秩父宮野営記念碑 の前で 秩父宮野営記念碑除幕式
当日のご成婚パレード