スカウ天狗の夜話(8)

福島第77団の復団

我が家の本棚の整理をしていたら、「ボーイスカウト復団の意義」という、
新聞記事のコピーが見つかりました。平成13年11月8日の「論説」欄の記事で、
現在のボーイスカウト活動について、重要なヒントになると思いますので、
指導者の研修のテーマに取り上げてほしいと思います。

論説「ボーイスカウト復団の意義」村上良一

『日本ボーイスカウト福島連盟福島第77団が、15年ぶりに浪江町に復活した。新たな出発となった9月初めの発団式以来、カブスカウト隊(17人)とボーイスカウト隊(10人)はオリエンテーリングなどの活動に取り組んでいる。

そもそも、福島第77団が発足したのは昭和50年。当初は50人ほどの隊員がおり活発な活動を展開したが、61年いっぱいで活動を停止し、団名を残したまま休団に追い込まれた。活動休止に至った明確な理由は分からないが、指導者不足やスポーツ少年団の台頭などが影響したとみられている。

復活への動きは、かつての隊員からわき起こった。発端は集団での野外活動の楽しい思い出。つらいこと、苦しいこともあったが、ほかでは教わる機会の少ないナイフの使い方、テントの張り方、火のおこし方、濁った水の飲み方、ロープ結び、飯ごう炊飯などを学んだ。

休団になるまで在籍した金沢和弘さん(現ボーイスカウト隊隊長)は、「当時は感じなかったが、活動を通し規律や協調性、責任感、言葉遣い、思いやり、助け合うことの大切さなどが無意識のうちに身についた」と振り返る。また、同じ体験を持つ吉田政輝さん(現団委員)は、「ナイフで切りつけたら相手は痛いということが普通は分かるが、正しい使い方を知らなければ危ないことも分からない」と指摘する。

折しも、ナイフを悪用した青少年の凶悪犯罪が相次ぎ、犯罪の低年齢化、いじめ、ひきこもり、不登校など心を痛める現象が社会問題となってきた時代。「自分が経験したことを教え、青少年の健全育成につなげたい」と、昨年夏から復団への具体的な準備に入った。

日本ボーイスカウト福島連盟によると先月末現在、県内には第77団を含め、49団があり、隊員数は2724人。ピークは昭和50年代後半で、58年当時は55団で、3550人の隊員がいた。高まる心の教育の必要性や、学校週五日制への移行などを背景に、ボーイスカウト運動は、あらためて注目され、2年前には県内で新たな1団が誕生し、1団が復活した。

今回の第77団の復団は、かつての隊員が大人になって、ボーイスカウト活動の有効性を認識し、次代を担う子どもたちの健全育成に立ち上がったのがきっかけとなった。体験に基づく素晴らしさを十数年後に実感した元隊員。そうした声に耳を傾け、理解を示した周囲の協力か実を結んだ結果としての復活にまずは大きな意義かある。

同じように、今の隊員が団活動に意義を感じるのは十数年先になるかもしれない。それでもいいではないか。大切なのは、その時々に感じた活動の素晴らしさを代々受け継いでいくことだろう。継続してこそ、復団した真の意義が生まれてくる。幸い指導者も数多い。人間性豊かな人材育成へ、実践に裏打ちされた今の熱い思いを忘れることなく取り組んでいってほしい。』

以上で全文ですが、わがハチスだけでなく、多くの団の問題と思います。
機会があったら、指導者集会などでも、取り上げては如何でしょうか。

令和元年6月30日
  ハチス団委員 赤城良一