スカウ天狗の夜話(4)

キムスゲーム

いま、ハチスの集会で、キムスゲームを実施していますか、昔の、
「ボーイスカウト・ポケット・ブック」では、「キムスゲーム」を、
トップに挙げています。それだけスカウティングでは重要視していたのです。

歌集を編纂した中村知先生は、次のような「キムス・ゲーム」の歌を作詞、
奨励しています。
1 二十四の品物並べます  一分間見させて
  それからかくして    思い出させて書かす
  このおもしろいキムスゲームは
  二級考査のテスト
               (以下略)

いま、高齢者の運転ミスによって、悲惨な交通事故が多発しており、
免許書換えのときの、記憶力テストが重要視されている様です。
スカウトはスマホなどに頼らず、記憶力、推理力を高めてほしいものです。

ところで、このキムと言うのは何でしょうか。
イギリスの小説家、詩人で、キップリングと言う人が書いた、
「少年キム」という小説の少年の名前です。
物語の中のキム少年は、頭の回転が早く、見たことを瞬間的に記憶して、
正確に思い出すという能力を持っていました。
さらに、キムは行動も機敏で、変装も上手で、キムは諜報活動で大活躍をしたのです。

ベーデンパウエルは、この「少年キム」の小説に興味を持ち、
進級課目にキムスゲームを取り入れました。
作者のキップリングも、スカウト活動に興味を持ち、
「ジャングル・ブック」を出版し、カブの活動テーマになりましした。

話は代わって、皆さんは「シートン動物記」もご存じと思います。
著者のアーネスト・トンプソン・シートンは、イギリス出身の博物学者で、
ウッドクラフト・インディアンズという少年団を創立しています。
ベーデンパウエルとも親交があり、ボーイスカウトの創設に協力しました。

シートンは、55編もの動物物語「シートン動物記」を出版しましたが、
そのほかに、「二人の小さな野蛮人」という本も出版しました。
BPはこの「二人の小さな野蛮人」に大変興味を持ち、この内容を、
スカウティングに取り入れたと言います。

小説の内容は、ヤンとサムという、2人の少年が、カナダの奥地の農場の森で、
インディアンの生活の知恵を学び、2人の住居を建てました。そして、
生活に必要な道具を造り、いろいろな冒険に挑戦するという物語りです。
出版された本は、単なる物語りだけでなく、2人が試みたいろいろな技術を、
図解入りで説明されていて、ボーイスカウトのハンドブックのような内容です。

「少年キム」、「ジャングル・ブック」、「二人の小さな野蛮人」をはじめ、
トンプソン・シートンやキップリングの小説は、スカウターにとって、
貴重なヒントを与えてくれる参考書です。一読されることをお勧めします。

令和元年5月27日
  ハチス団委員 赤城良一